2010年 08月 07日
酒、好き酒器。 |
「よろしければ、<どぶ>を炭酸割でお召し上がりください。 蔵人の夏の飲み物です。プラス表示の少ない+2.0や+2.5などに、トニックウォーターが一番合うようです」。
こんなメールを送ってくださったのは、奈良は「久保本家酒造」杜氏、加藤克則さん。氏とは、お隣町にある蕎麦屋「蕎麦きり さいとう」の酒の会でお会いした。恰幅のいい、声がよく通る人、そんな印象。以前から、氏の醸す「生酛のどぶ」に陶酔(非泥酔)していただけに、アレコレ話をうかがった。が、しか~しっ、覚えていない。ごめんなさい。やはり泥酔してしまったか。「どぶ」にはまってしまった、のか。
で、「<どぶ>ってなんなのさ」の御仁もいらっしゃるので簡単にいうと、「にごり」酒でございます。世間に知られる”にごり”とはまったくの別物。ベタ、重もなし。なにせ切れる。「日本刀に勝る切れ味」と言ってもわっかないだろうな。一度、切られてくださいな。「な~る」と思ふかもしれません、から。
ちなみに「どぶ」が生まれたきっかけについては、こちらを参照ください。なにせ、小生記憶をたどる糸さへ切れております、故。加藤さんのお顔もうかがえます(「かふぇ・べいぶ別館様」お許しを)。
徳利が、「い燗ぜよ」。
「どぶ」をはじめとして、折角の良い酒を燗する道具に良いもんが少ない。この何年も、都内や京都やソウルの旅先でも気にしてのぞいているが「こりゃ」に出くわさない。
そんな折、「ないなぁ、ええのは」とはっきり断言したのは、京都の「古美術佃」のご主人、佃達雄さん。
昨年の夏のこと。「やはり、良いですね」。手にとっては撫で回し、恥ずかしいポーズまでとらせて眺めるは「蕎麦猪口」。「伊万里、江戸中期はあると思う」。「これで、酒呑みます」。「ええな」。その折に、「徳利は」との問いに応えたのが先の「ないな」。
あれから一年の夏。銀座で日程限定の「佃達雄の眼」展が開かれた。「あれからみたら、下手や」。件の蕎麦猪口と同じ伊万里で時期も同じ頃だという徳利。なるほど、焼き、色、云われてみれば「そうかな」が煩悩を占める。だいぶ入る、二合、いや三合はいけるかもしれない。花をさしても映えそうだし、「いただきます」。
「四季問わず燗酒」の卓上は、徳利がご主人様だ。こいつがちゃんとしてないと、どうにもおさまらない。でも、塩梅のいい徳利がみつからない。
そこで、呑みの徒である私は、数年前に西荻の「魯山」で紹介いただいた、常滑の陶芸家、掛江祐造さんが閃いた。
「以前求めた彼の徳利に注文を付けてみよう」っての身勝手無礼。「よろしかったら、8月の29日に窯出しをしますので」という便りがあったのは数日前。それには、こう付け加えてあった。「出てきたものの出来が悪いと気まずいので、これから頑張ってつくります」と。
加藤克則杜氏、広島の「竹鶴酒造」の石川達也杜氏、彼らが確実に、日本の酒を変えてくれるだろう。ただの呑み助としては、それに見合う酒器、酒肴を吟味することで彼らに応えたい。まずは、燗酒の住まい「銅壺」を用立てねば。答えは、そう。「そうだ京都へ行こう」。
by COTYUU
| 2010-08-07 12:40
| 酒池酒林