2010年 09月 27日
酒肴錯誤。 |
この頃、気になることがある。放っておいてもいいのだが、「いや、変だよ」と思えることが。たとえば、京都の料理屋、東京の寿司屋などで、それは見られる。「葡萄酒の氾濫」といえば、ちとオーバーかもしれないが、これみよがし、したり顔の面々が、「白だ、赤だ。やはりブルゴーニュだ」と喧しい。
大体、和人諸氏、本当に「和の料理に、葡萄酒が合う、旨い」と思っているのだろうか。刺身に平気で麦酒をあてる野暮は、愚とあしらうようだが、どうもいただけない。じゃ、日本酒の揃えはというと、これがお話にならない。○寿だとか○○代に始まり、金賞受賞、古酒大吟醸の冠つきが幅を利かせている。
酒(日本酒)を手前の料理とどう合わせようかという、苦心の背景が感じられない、京都の料亭を含む料理屋さん。運動会でもあるまいに、赤だの白だのと葡萄酒談義、主人も客も悦に入っているという「戯画草紙」が目に痛い。
食前、食中、食後と、和の料理は言うに及ばず、ジビエにも応えうる、世界でも希有の酒、日本酒。酒をあてて食を進めるのは古今東西変わらない。が、酒の菜としての組み合わせを完成した日本料理に、真っ当な日本酒を吟味できないとは。悲し、過ぎる。
旨い「酒の菜」だから「さかな=魚」。
京都で日本酒を理解している料理屋は、二年程前まで皆無だった。私見故、当然了見もせまいが、あえて言い切る。
最近、有名処から独立した方が始めた一軒(ちょっとお高い)。もう一軒、この秋、こちらも有名処を辞して始める店が同じ酒を選んでいる。好好。両店ともご主人が、鳥取県の蔵元に出向き、自身の料理と醸される酒について研鑚に余念がない。多くの人に、彼らの姿勢、料理の質(すでに評価が高い)、良い酒と料理の調和=ハーモニーを楽しんでもらいたい。で、その店はどこだって?NON。せっせと通い、”らしい”匂いをかぎ分けながら辿り着く。旨いもんとは、そういうモンです。
偉そうにのたもうたが、当方はいたって鈍愚の最たるもの。真っ当な酒菜をこしらえる能力は無。先日はそれを見かねてか、ご近所イタリアン「アルティジャーニ」のご主人がお見えになり、私の好物「秋刀魚のガレット」の作り方を伝授してくれた。あちこちに秋刀魚のガレットを出す店があるが、氏のガレットは、味も体裁も、他の店とは別もんで、旨すぎる。これに、葡萄酒ではなく、「竹鶴雄町」をきちんと冷やし、相手をさせる。どんな銘醸の葡萄酒をもってきても、適わない。そんな酒。
興がむくと悪戯をしたくなる。今回は、シチリアはパッキーノ産・サンドライのトマトと、流行の「食べられるラー油」を合わせてみた。これに思いつきの一滴を加えれば、酸味のある酒にピッタンコ。ちなみにラー油は、世間に溢れるナショナルブランドではございません。使われている材料はアンチョビ、オリーブの実など。これがパッキーノにと思った因でございます。
ただ、どんな良い酒であっても、一番の酒肴は、人。同席の相手、店であれば主人とスタッフ、それに客。特に、EUのそれなりのレストランの食卓を囲む場合、店や客が醸し出す、何ともいいしれぬ、ムード。それがもっとも美味しい酒肴でございます。ちょっぴり、「緊張」というソースを利かせて、ですが。
大体、和人諸氏、本当に「和の料理に、葡萄酒が合う、旨い」と思っているのだろうか。刺身に平気で麦酒をあてる野暮は、愚とあしらうようだが、どうもいただけない。じゃ、日本酒の揃えはというと、これがお話にならない。○寿だとか○○代に始まり、金賞受賞、古酒大吟醸の冠つきが幅を利かせている。
酒(日本酒)を手前の料理とどう合わせようかという、苦心の背景が感じられない、京都の料亭を含む料理屋さん。運動会でもあるまいに、赤だの白だのと葡萄酒談義、主人も客も悦に入っているという「戯画草紙」が目に痛い。
食前、食中、食後と、和の料理は言うに及ばず、ジビエにも応えうる、世界でも希有の酒、日本酒。酒をあてて食を進めるのは古今東西変わらない。が、酒の菜としての組み合わせを完成した日本料理に、真っ当な日本酒を吟味できないとは。悲し、過ぎる。
旨い「酒の菜」だから「さかな=魚」。
京都で日本酒を理解している料理屋は、二年程前まで皆無だった。私見故、当然了見もせまいが、あえて言い切る。
最近、有名処から独立した方が始めた一軒(ちょっとお高い)。もう一軒、この秋、こちらも有名処を辞して始める店が同じ酒を選んでいる。好好。両店ともご主人が、鳥取県の蔵元に出向き、自身の料理と醸される酒について研鑚に余念がない。多くの人に、彼らの姿勢、料理の質(すでに評価が高い)、良い酒と料理の調和=ハーモニーを楽しんでもらいたい。で、その店はどこだって?NON。せっせと通い、”らしい”匂いをかぎ分けながら辿り着く。旨いもんとは、そういうモンです。
偉そうにのたもうたが、当方はいたって鈍愚の最たるもの。真っ当な酒菜をこしらえる能力は無。先日はそれを見かねてか、ご近所イタリアン「アルティジャーニ」のご主人がお見えになり、私の好物「秋刀魚のガレット」の作り方を伝授してくれた。あちこちに秋刀魚のガレットを出す店があるが、氏のガレットは、味も体裁も、他の店とは別もんで、旨すぎる。これに、葡萄酒ではなく、「竹鶴雄町」をきちんと冷やし、相手をさせる。どんな銘醸の葡萄酒をもってきても、適わない。そんな酒。
興がむくと悪戯をしたくなる。今回は、シチリアはパッキーノ産・サンドライのトマトと、流行の「食べられるラー油」を合わせてみた。これに思いつきの一滴を加えれば、酸味のある酒にピッタンコ。ちなみにラー油は、世間に溢れるナショナルブランドではございません。使われている材料はアンチョビ、オリーブの実など。これがパッキーノにと思った因でございます。
ただ、どんな良い酒であっても、一番の酒肴は、人。同席の相手、店であれば主人とスタッフ、それに客。特に、EUのそれなりのレストランの食卓を囲む場合、店や客が醸し出す、何ともいいしれぬ、ムード。それがもっとも美味しい酒肴でございます。ちょっぴり、「緊張」というソースを利かせて、ですが。
by COTYUU
| 2010-09-27 19:11
| 酒池酒林