2010年 10月 13日
蠔油事始。 |
中国では牡蠣を生食する習慣がなく、塩茹でしてから干した「蠔豉(ハオチー)」を食べていて、この「蠔豉」をつくる際の”余分”に目をつけたおじさんがいた。牡蠣の煮汁の旨みに注目、これを濃縮し、砂糖などのおまじないをかけ、もっと美味しくしようって。で、誕生したのが、ご存じ「蠔油(オイスターソース)」。
そのおじさんのお名前は、李錦裳(リキンシェン)。そうです。料理好き、中華好きな方はPing、ときましたね。李さんの着目はあっという間に、中華の民を虜にし、設立したのがご存じ「李錦記」ってわけなんです。これが19世紀も後半のことだったらしい。ので、中華四千年に渡る中華料理の中では、とても新しい調味料ってことになります。「新しい」といえば、20世紀後半に登場した中華の調味料にも、「蠔油=ハオユー」が重要な役割を担っているんです。
オイスターソースのメッカ。
香港市内から、いかなる交通機関を用いても、ちょっとした旅になる。やっとこさ辿り着いても、「どこが、街なのさ」ってな感じ。それがこの村「流浮山=ラウファンシャン」の全容なんだけど。
広場から路地に入ると両側には海鮮の料理屋、乾し牡蠣などの干物屋の屋台が並ぶ。道の突き当たり、海岸の向かいは、中国の珠海市だ。この街で、前出の李錦裳氏は生を受けている。
いまや「蠔油」の聖地は本土ではなく、特別区香港のココ。李錦記とは比べものにならない小規模の生産者が、「うちのは特別だよーん」と宣伝もせず、個別販売していたり、OEMよろしく原料の卸なんかもしている。じゃっ、何処のを買いましょうかってことが、難でございますね。かふいう時は迷わず、香港食客王、蔡瀾の贔屓にあづかりましょう。手に入れた逸品は、店頭の一連とは別物。主人が奥から出してくれる特別の人達仕様。以前はノンレーベル(ラベルなし)だったが、最近は特製を貼り付けているそうな。
と、ここで皆様。同じ「蠔油」でも特級蠔油 、金裝蠔油 、原裝蠔油等ににランク分けされているのをご存じでしたか。日本で入手できるものはドロリとしていませんか。これが牡蠣のエキスだと。じゃんねん、これは糊成分、デンプンの粘り。これら混ぜ物のないものほど、さらりとしています。「原裝蠔油」とかがそれ。風味もよろしい。香港に出かけた際には、是非、成分表をじっくりと御観察あれ。
香港の麺粥家でいただく時に必ず注文するのが、「郊外油菜」季節の野菜蠔油かけ。野菜は芥蘭(カイラン)が一番美味しいと思うけど、日本だと入手が困難。適当な青菜を用意すればよろし、のことよ。旨み満載のオイスターソースが、どんな腕もカバーしてくれる、便利調味料「蠔油」。
前出、20世紀中華調味料。それは「XO醤」、デス。この味を冠にした料理銘を高級な中華飯店に行くと見かけますね。生まれも高級で、香港のペニンシュラホテル「嘉麟楼」(スプリングムーン)のシェフが名付け親です。この「醤」の数ある材料のまとめ役が「蠔油」。これにホテル中華ならではの高級ブランデー「コニャック」を一滴。ってんで「XO」じゃん、と云うわけだ。
*TOP写真は、「小松菜の蠔油かけ」。
そのおじさんのお名前は、李錦裳(リキンシェン)。そうです。料理好き、中華好きな方はPing、ときましたね。李さんの着目はあっという間に、中華の民を虜にし、設立したのがご存じ「李錦記」ってわけなんです。これが19世紀も後半のことだったらしい。ので、中華四千年に渡る中華料理の中では、とても新しい調味料ってことになります。「新しい」といえば、20世紀後半に登場した中華の調味料にも、「蠔油=ハオユー」が重要な役割を担っているんです。
オイスターソースのメッカ。
香港市内から、いかなる交通機関を用いても、ちょっとした旅になる。やっとこさ辿り着いても、「どこが、街なのさ」ってな感じ。それがこの村「流浮山=ラウファンシャン」の全容なんだけど。
広場から路地に入ると両側には海鮮の料理屋、乾し牡蠣などの干物屋の屋台が並ぶ。道の突き当たり、海岸の向かいは、中国の珠海市だ。この街で、前出の李錦裳氏は生を受けている。
いまや「蠔油」の聖地は本土ではなく、特別区香港のココ。李錦記とは比べものにならない小規模の生産者が、「うちのは特別だよーん」と宣伝もせず、個別販売していたり、OEMよろしく原料の卸なんかもしている。じゃっ、何処のを買いましょうかってことが、難でございますね。かふいう時は迷わず、香港食客王、蔡瀾の贔屓にあづかりましょう。手に入れた逸品は、店頭の一連とは別物。主人が奥から出してくれる特別の人達仕様。以前はノンレーベル(ラベルなし)だったが、最近は特製を貼り付けているそうな。
と、ここで皆様。同じ「蠔油」でも特級蠔油 、金裝蠔油 、原裝蠔油等ににランク分けされているのをご存じでしたか。日本で入手できるものはドロリとしていませんか。これが牡蠣のエキスだと。じゃんねん、これは糊成分、デンプンの粘り。これら混ぜ物のないものほど、さらりとしています。「原裝蠔油」とかがそれ。風味もよろしい。香港に出かけた際には、是非、成分表をじっくりと御観察あれ。
香港の麺粥家でいただく時に必ず注文するのが、「郊外油菜」季節の野菜蠔油かけ。野菜は芥蘭(カイラン)が一番美味しいと思うけど、日本だと入手が困難。適当な青菜を用意すればよろし、のことよ。旨み満載のオイスターソースが、どんな腕もカバーしてくれる、便利調味料「蠔油」。
前出、20世紀中華調味料。それは「XO醤」、デス。この味を冠にした料理銘を高級な中華飯店に行くと見かけますね。生まれも高級で、香港のペニンシュラホテル「嘉麟楼」(スプリングムーン)のシェフが名付け親です。この「醤」の数ある材料のまとめ役が「蠔油」。これにホテル中華ならではの高級ブランデー「コニャック」を一滴。ってんで「XO」じゃん、と云うわけだ。
*TOP写真は、「小松菜の蠔油かけ」。
by COTYUU
| 2010-10-13 12:46
| 落ちない噺