2010年 09月 20日
秋雨を待つ。 |
夏場に買い込んだ酒も、朝夕の涼風にあたり、ひと味鍛えられたかと思う頃合い。どんなに暑くても、相方の「お酒」の言葉を待つまでもなく、いそいそと燗に仕立てる酔い組ふたり。夏の夜短(?)、秋の夜長、冬の…と、通年「燗」でごじゃります。そんな酒浸りの日々にあって、なにも秋雨(しゅうう)を待つこともなかろうに、というところではありますが。
タイでの冬眠からもどった今年一月、京都に出向いた際に、「これだ」を見つけた。何年もあちこち探し廻った揚げ句、やはり職人の街「京都」に、それはあった。三十三間堂の西側にある「WEST SIDE 33」(直訳?)。英語の店舗名にはぐらかされてはいけません。こちらは、鍛造工房を肩書きとする「職人」の店なんでございます。
品物をよく見ると、「茂作」と刻印が打ってあることに気付くだろう。この店の主人「寺地茂」の自信、自負であるお印。こうした道具の殆どが修理に応じてくれる。修理に応えられる技量、修理してでも「使いたい」という双方の思いが、良い職人を育て、良い道具が鍛えられる。で、先の「これだ」とは…。
「燗」極まる。
鍋に湯を張ったり、薬罐にドブリと、やっつけの「燗つけ」を繰り返してきたが、どうもしっくりとこない。この数年、「鷹勇」の坂本さん、「睡龍」の加藤さん、「竹鶴」の石川さん、彼ら名杜氏諸氏から、酒造りの話を聞くにつけ、こちらも「ちゃんと」呑まなくてはという、しおらしい姿勢が芽生えてきた。
どうするかというと、さよう、日本和様オリジン「カタチ」から入るベし。ってんで、主たるは酒燗器から始めようと、カタチの1は、お燗の道具。鍛造工房で見かけたのは、アルミをたたいたもので、形もよろしく、「これでいっか」と。でもさ、やはり囁きがあるんですね、かふぃう時に、決まって、「良いのかい、おまえさん」ってね。相方も囁きを知ってか、「アルミで?」と、声と視線が物言いを訴える。
迷いを払拭し、見当をつけるのに半年ほどかかり、6月末、再訪。素材は銅(あか)、寸法、ハンドル、IH対応の検討など、お店の女将と相談。ここん家は、店頭にいる女将さんがすべてを仕切っているようだ。プロの料理関係者が多く、けっこうな難問にも応えてくれるのは京都の職人の店に共通している。
8月末、再再訪。「暑つ~に、遠いところを、まーっ」。「ハンドル、のとこ変えて二つ作りました」。見ると、持ち運びに使うハンドルを、固定にするか、可動にするかで悩んでいたのだが、なんと両方を造ってくれていた。現物があると比べやすく、感激&感謝。熱源、設置を考え可動の方を選び、ハンドルには弦を巻いてもらうことにした。ん、っていうことは、固定のハンドルのもうひとつが残るって寸法。もし、ご希望の方がいらっしゃいましたら、三十三間堂の西側に、急行されたし。すでに、目の利く、誰ぞのもとに行った後であれば、「誂え」をすれば済むこと。そこは、京都「いと、おかし」に「不自由」はありまへん。
ようやく手に入れた銅壺。おなじ銅(あか)で造ったちろり。寺町通の「清課堂」製,錫のたんぽ。カタチの取り繕いを〆るは、数年の夏を越した剛健な酒達。これに、ひと雨あれば風情ってもんでせう。酒肴もいらぬこと請け合い。という由で、秋の雨を待っているのでございます。
タイでの冬眠からもどった今年一月、京都に出向いた際に、「これだ」を見つけた。何年もあちこち探し廻った揚げ句、やはり職人の街「京都」に、それはあった。三十三間堂の西側にある「WEST SIDE 33」(直訳?)。英語の店舗名にはぐらかされてはいけません。こちらは、鍛造工房を肩書きとする「職人」の店なんでございます。
品物をよく見ると、「茂作」と刻印が打ってあることに気付くだろう。この店の主人「寺地茂」の自信、自負であるお印。こうした道具の殆どが修理に応じてくれる。修理に応えられる技量、修理してでも「使いたい」という双方の思いが、良い職人を育て、良い道具が鍛えられる。で、先の「これだ」とは…。
「燗」極まる。
鍋に湯を張ったり、薬罐にドブリと、やっつけの「燗つけ」を繰り返してきたが、どうもしっくりとこない。この数年、「鷹勇」の坂本さん、「睡龍」の加藤さん、「竹鶴」の石川さん、彼ら名杜氏諸氏から、酒造りの話を聞くにつけ、こちらも「ちゃんと」呑まなくてはという、しおらしい姿勢が芽生えてきた。
どうするかというと、さよう、日本和様オリジン「カタチ」から入るベし。ってんで、主たるは酒燗器から始めようと、カタチの1は、お燗の道具。鍛造工房で見かけたのは、アルミをたたいたもので、形もよろしく、「これでいっか」と。でもさ、やはり囁きがあるんですね、かふぃう時に、決まって、「良いのかい、おまえさん」ってね。相方も囁きを知ってか、「アルミで?」と、声と視線が物言いを訴える。
迷いを払拭し、見当をつけるのに半年ほどかかり、6月末、再訪。素材は銅(あか)、寸法、ハンドル、IH対応の検討など、お店の女将と相談。ここん家は、店頭にいる女将さんがすべてを仕切っているようだ。プロの料理関係者が多く、けっこうな難問にも応えてくれるのは京都の職人の店に共通している。
8月末、再再訪。「暑つ~に、遠いところを、まーっ」。「ハンドル、のとこ変えて二つ作りました」。見ると、持ち運びに使うハンドルを、固定にするか、可動にするかで悩んでいたのだが、なんと両方を造ってくれていた。現物があると比べやすく、感激&感謝。熱源、設置を考え可動の方を選び、ハンドルには弦を巻いてもらうことにした。ん、っていうことは、固定のハンドルのもうひとつが残るって寸法。もし、ご希望の方がいらっしゃいましたら、三十三間堂の西側に、急行されたし。すでに、目の利く、誰ぞのもとに行った後であれば、「誂え」をすれば済むこと。そこは、京都「いと、おかし」に「不自由」はありまへん。
ようやく手に入れた銅壺。おなじ銅(あか)で造ったちろり。寺町通の「清課堂」製,錫のたんぽ。カタチの取り繕いを〆るは、数年の夏を越した剛健な酒達。これに、ひと雨あれば風情ってもんでせう。酒肴もいらぬこと請け合い。という由で、秋の雨を待っているのでございます。
by COTYUU
| 2010-09-20 15:34
| 落ちない噺