2011年 02月 16日
「和っ!と」 is this? |






「なんじゃこりゃ」。カルフォルニアロールなるものを初めて見たのは、LAはヴェニスビーチのお寿司屋さんだった。あれからうん十年。件のロール寿司は、回転(?)力を上げ、今じゃ世界中の「SUSHI 」ショップになくてはならないものに成長したようだ。もはや、日本人の日本人の為の寿司、「粋」を握る寿司はカタチを変え、「SUSHI」なる新しきmonoに過負荷、じゃなくって変身してしまった。
かくいう「壷中」も、今回イタリア酔夢行中にシチリアのカターニアに助けを求めた。「月に500キロの米を使います」と「Oxidiana」料理長の田中旭(AKIRA)さん。6~7年程前、これまたイタリア彷徨中、オリーブオイル漬けの心身を洗い流してくれた恩人である。「今、カターニアに日本食の店が6軒あるんですよ」。シチリア第二の都市とはいえ、在住の日本人の数は知れている。ってことは一目瞭然、客のほとんどが地元カターニアッ子なんですね。Oxidianaでも、AKIRAさんの他に3名の日本人料理人が、連日、機関銃のような注文伝票と格闘している。持ち帰り用のBOXもステイタスのようで、お客さんが得意げなのもよろしいか。ちなみに此処でも、“ロール”は幅を利かせている。五島列島出身の又野武揚さん作「TAKE ROLL」も「AKIRA SPECIAL」に続き、常連の舌と胃袋を「ヴゥオーノ」しているんでございます。
"遅巻き"ながら。

此処はボローニャ。仰天こそしなかったが「ブルータス、お前もか」の光景に出くわした。何度か出かけたことのある公園側の中華料理店。入り口の照明が変わった…かな、と、はてさて。以前はレジスターの置かれていたカウンターに、寿司ネタを並べたガラスケース(日本のお寿司屋さんのソレ)がデンと置かれ、寿司なる暖簾までかかっているではありませんか。
「中華やっているの?」。「中華&和」ざんす、なんてことを中華人がイタリア語でお応えくださった。かつての中華の残照に和(風)を持ち込んだ奇妙な空間。ロシア人女性が「FUTOMAKI」をナイフとフォークで格闘している情景。無無の無。えらいことが起きていた。
で、お次はパリ。相方の希望で今回はマレ地区に宿をとった。水の調達がてら街に出てみたら、数軒先に「Japonais」の看板。路地奥にも「SUSHI」の文字。リボリ通りには「SUSHI-WASABI」なる店が、中華の総菜と一緒に「SUSHI」を売っている。試しに買ってみると、スープのようものが付いてきた。宿で開けると、なんと味噌汁。数日後、今度は昼時に訪ねると、満席大盛況。「客の大半が地元の人」は、カターニアと同じ。中華人らしき店のマダムが、「奥へどうぞ」と流暢な日本語で席を設けてくれた。スタッフも感じが良く、幾度か持ち帰りのお世話になった。あるとき、かのマダムが「お味噌汁はいかがですか」と。そう、最初の味噌汁は、スタッフの気持ち、おまけだった。
パリに限らず、海外進出の先輩「華僑」のシステムは、ビジネスにおいて、日本より遥かに先を行っている。「本物の和とは」を論じる前に、食というシーンを先取りした彼らの手法には見習うところがある。日本製の携帯電話と同じく、「和の食」も凝って、がちがちになり過ぎると、「喰えない物」に成り下がってしまう。そんな気がしてならない。『oxidiana(オキシディアーナ)』
住所:Via Conte Ruggero 4/A Catania ,Italy 営業時間:20:00~23:30(日~木)、20:30~24:00(金、土)TEL:095.532585 *TOP写真はすべて「oxidiana」。このほか、天ぷらやカレーライス、串焼きもあり。シチリア産葡萄酒の品揃えも豊富。
by COTYUU
| 2011-02-16 10:23
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