2011年 06月 08日
「壷中」、土楽へ。 |
「これは、このまま火にかけてええんや」と、自作の徳利を炉に差し込む。何度か、お邪魔したことのある母屋の心は、床よりもこの囲炉裏かと思う。この日、定位置に座る「土楽」のご当主・福森雅武さんを囲んだのは、ご友人、染色家の吉岡幸雄さん、福森さんのお弟子さんで陶芸家の岸野寬さん、彫刻家の岸野承さんご兄弟。酒を担ったのは竹鶴酒造の杜氏・石川達也さん。土楽八台目を継がれる道歩さん。付録が「壷中」の二人っていう寸法。
以前、土楽にお邪魔したとき、「ちょっと面白い酒を醸す男がいるんですが」と持ちかけると、「いいね~。およびして」と即断。この経緯を吉岡さんにお話すると「私も行こうか」と、こんな豪華な顔ぶれに相成った次第。酒は竹鶴、肴はご当主手ずからなる、「白ミルと鯒の刺身」、「あら炊き」、「伊賀牛ステーキ」、「焼き唐墨」に庭で摘んだ「蕗のたいたん」。「ご馳走とは、こ~いうもんだ」の図でございます。海のもの以外は「身土不二」のお暮らし、今時これこそが贅沢か。しかしながら、「壷中夜噺」にと、品々の写真を記録するは無粋と心え、炉の直燗一葉で。お許しください。
「直火に耐えるのはこの辺りの土(粘土)の特性や」と、ご当主。はは~ん、なる。それで、あの傑作「黒鍋」がでけた、んだ。
「山椒」はGoo!
伊賀への行き帰りは、吉岡さんが手配してくれた車に同乗させていただいた。途中、「このあたりが宇治茶の名園で、この地域は柿渋の産地だった。今じゃ、なりわいになっているかどうかだな。この街道は徳川家康が敗走した道だ」と、博学の説明付きの道中。行きは素面、帰りはしこたまの面でも面白く拝聴させていただいた。「先人に学ぶ」吉岡さんも石川杜氏も、同じ思いを重ねていた。和の様、先の人に学べ、と。
あたりの景色は夕暮れに霞み、夏が来ていることを知らせている。京都の夏、鱧の季節、か。鱧が出始めるころ、実山椒が、京の街中に出回る。汗を感じる頃合いをみはからってか、「ピリリ」の小粒が利く。この小粒が、店頭に見られなくなり、暑さが増すと鱧がより美味しくなる。鮎も解禁になり、この時分の京都はずいぶんとお得だ。なんでか、鱧には梅肉をあて、鮎には蓼(酢)をあてる。どちらもピリリッじゃないが、気付け、毒消しを妙味に仕立てしまった。先人、あんたはエライ。
オマケ
京都産実山椒を買ったので、おなじみ「ちりめん山椒」を炊いた。作り方は旧ブログ「ちりめん山椒事始め」を参照。今回は、醤油を京都の「マルサワ醤油薄口」にしてみた。
以前、土楽にお邪魔したとき、「ちょっと面白い酒を醸す男がいるんですが」と持ちかけると、「いいね~。およびして」と即断。この経緯を吉岡さんにお話すると「私も行こうか」と、こんな豪華な顔ぶれに相成った次第。酒は竹鶴、肴はご当主手ずからなる、「白ミルと鯒の刺身」、「あら炊き」、「伊賀牛ステーキ」、「焼き唐墨」に庭で摘んだ「蕗のたいたん」。「ご馳走とは、こ~いうもんだ」の図でございます。海のもの以外は「身土不二」のお暮らし、今時これこそが贅沢か。しかしながら、「壷中夜噺」にと、品々の写真を記録するは無粋と心え、炉の直燗一葉で。お許しください。
「直火に耐えるのはこの辺りの土(粘土)の特性や」と、ご当主。はは~ん、なる。それで、あの傑作「黒鍋」がでけた、んだ。
「山椒」はGoo!
伊賀への行き帰りは、吉岡さんが手配してくれた車に同乗させていただいた。途中、「このあたりが宇治茶の名園で、この地域は柿渋の産地だった。今じゃ、なりわいになっているかどうかだな。この街道は徳川家康が敗走した道だ」と、博学の説明付きの道中。行きは素面、帰りはしこたまの面でも面白く拝聴させていただいた。「先人に学ぶ」吉岡さんも石川杜氏も、同じ思いを重ねていた。和の様、先の人に学べ、と。
あたりの景色は夕暮れに霞み、夏が来ていることを知らせている。京都の夏、鱧の季節、か。鱧が出始めるころ、実山椒が、京の街中に出回る。汗を感じる頃合いをみはからってか、「ピリリ」の小粒が利く。この小粒が、店頭に見られなくなり、暑さが増すと鱧がより美味しくなる。鮎も解禁になり、この時分の京都はずいぶんとお得だ。なんでか、鱧には梅肉をあて、鮎には蓼(酢)をあてる。どちらもピリリッじゃないが、気付け、毒消しを妙味に仕立てしまった。先人、あんたはエライ。
オマケ
京都産実山椒を買ったので、おなじみ「ちりめん山椒」を炊いた。作り方は旧ブログ「ちりめん山椒事始め」を参照。今回は、醤油を京都の「マルサワ醤油薄口」にしてみた。
by cotyuu
| 2011-06-08 16:00
| 落ちない噺