2012年 04月 02日
悩みの箱。 |
凝り性の人は電話一つ取り附けるにも頭を悩まして、梯子段の裏とか、廊下の隅とか、出来るだけ目障りにならない場所に持って行く。その他庭の電線は地 下線にし、部屋のスイッチは押入れや地袋の中に隠し、コードは屏風(びょうぶ)の蔭を這わす等、いろいろ、考えた揚句、中には神経質に作為をし過ぎて、 却ってうるさく感ぜられるような場合もある。(谷崎潤一郎「陰翳礼賛」より)眼に障るものに苦心する姿は微笑ましくも、悩ましくもある。これが書かれたのは昭和8年。谷崎ならずとも、今、建て売りの家であれ、注文のそれであっても、エアコンの出っ張りは塩梅がよろしくなく、拙宅では本棚に組みこんでいる。
アパートメントハウスのため、本棚は隣室との防音にもなっているのだが、設置してから20年を過ぎ、いよいよ交換しようとしたところ、同様機種が見当たらない。しかも、なんとか押し込めるのを用立てると、べらぼうな値段になってしまう。結局、流行のecoとは無縁のエアコンを使うしかない。箱物のおさまりは、かように悩ましい。
【お知らせ】
「壺中」は、4月30日(月)〜5月7日(月)まで、ゴールデンウィークのお休みをいただきます。翌8日(火)から、夕4時より通常営業いたしますので、よろしくお願いします。
燗酒嘉肴「壺中」
東京都文京区湯島2−31−25太陽ビル 1F
営業 午後4時〜10時(酒肴LO 9時00分/酒LO9時30分)
定休日 月曜 (日祝営業)
by COTYUU
| 2012-04-02 17:14
| 落ちない噺

